キナブロ

ざっくばらんに書きます

キナ英語(1) "would"

お久しぶりです。ちょっと病気をしまして、人生で初めて長期入院してました。3ヶ月ちょいですね。まだ生きてます。

ちょうどブログを書き始めた矢先の入院だったので、三日坊主の出落ちみたくなっちゃいましたが、ぼちぼち体力も戻ってきたのでのんびりと再開します。

というわけで、明日のわたモテ更新日の前に準備体操したいし90日放置の広告もうざったいので何か書こうかなーと。という記事です(投げやり)

TL;DR

Discordで海外のファンと話したいとか、キッチリしてなくていいから伝わる英語を気楽に身につけたいとか、そういう人向けに英語話す(聞く、書く、読む)ときのコツを書きます。

SVOがどうのとか副詞節がどうのとか気にしません。ただばちこりと伝える方法にフォーカスします。

TOEICで900目指すマンや、I'd rather you /past tense/ が気になって夜も眠れないマンは読まないほうが良いです。ドンバリーラクーンズ!

初回は would にフォーカスします。神の助動詞です。これさえ知れば「英語辛いンゴォ…」から「ワイ英語いけるやん!」に気持ちが変わる、そんなやつです。英語いけますよ。

なにがどうした

最近Discordに移住しました。Discordでの公用語は英語で、スペイン語話者もポルトガル語話者もフィンランド人もドイツ人もみな英語で話します。そこへ移住したことで、自分もいよいよ英語が日常生活の一部になってきました。

多分それは皆さんも同じだと思います。とりわけわたモテ周辺の皆さんは肌で感じるているのではなかろうかと、たぶん。自分から遠い存在だった英語がぐっと目の前まで来ている感じです。

実のところ僕はそんなに英語が得意ではないです。TOEICで900を叩き出す人たちとは種族が違います。僕はアライグマです。

そんなアライグマでも英語で会話をすることはできます。使ってるのは中学生の頃に知った単語ばかりです。getとかgiveとかtakeとか。そして相手の話も理解できます。ぶっちゃけたところ、ネイティブ含め会話に使ってる単語の90%は中学レベルの単語です。これは日本語でも同じですけど、文章の9割がわかれば残りの1割くらい予想と演繹でなんとかなっちゃいます。

なのであなたもできます(断言)

ただコツがあるんで、キナ英語ではそれを書いていきます。初回は would です。神の単語です。

would のきほん

きまりごとは…

I would be okay.
直: 私はオッケーだろう。
草: ワイはたぶん大丈夫やで。

It would be okay. 
直: それはオッケーだろう。
草: 大丈夫やろ。

Aw you really eat a lot. You would get fat!
直: アウあなたは実にたくさん食べる。あなたは太るだろう!
草: うわ君めっちゃ喰うなぁ。太るで!

wouldの後に動詞の原形を突っ込みます。そんだけ。

縮めると 'd になるよ。

I'd be grateful if you can help me.
直: 私は嬉しく思うだろう もしあなたが私を助けることができるならば。
敬: お力添えいただけますと幸いです。
(曖昧になればなるほど敬語になってる、はっきり分かんだね。嬉しく思うだろうってなんだよ)

They'd feel sad to hear that.
直: 彼らはザットを聞くために悲しく感じるだろう。
草: それ聞いたらみんな悲しむやろなぁ。

It'd work fine if there's no mistake.
直: それは良好に働くだろう もしゼアーにミステイクがなければ。
草: どっかでミスってなければうまいこと動くやろ。

would notwouldn't'd not で否定なのだ。

I would not appreciate his opinion.
直: わたしは彼の意見を感謝しないだろう。
敬: 彼の意見には賛成いたしかねます。
(私は感謝しないだろうって。自分が感謝するかどうかくらいわかっとけや)

It wouldn't get praised.
直: それは称賛を得ないだろう。
草: 褒められたもんじゃないやろな。

They'd not worry about the problem.
直: 彼らはその問題について心配しないだろう。
草: 連中はこの問題を心配してないやろ。

あっ、そうだあと一つ。

Would you like to have some coffee?
直: あなたはコーヒーを飲むことを好むだろうか?
敬: コーヒーをお持ちしましょうか?
(ことを好むだろうかって二重に曖昧にじゃんアゼルバイジャン)

きほんおわり。

would は「だろう」やろなあ

というわけで直訳すると「だろう」のwouldくんです。 草訳するとだいぶ色合いが変わるのもなんとなくつかめてたらいいゾ。

自然の摂理でもないし、科学の真理でもないし、必然の帰結でもなければ自分が100%自身を持って言い切れることでもないけど、でもまあ正しいだろってことを言いたいとき、それがwouldくんの腕の見せどころです。ギャグじゃないよ。

ほんとは will の意志を薄めたバージョンで、そんで無機物(や自分以外の人間)の意志を示すときにはそれは真理への近さを示していて、意志の薄まり具合によって真理のと距離が決まって、つまり it would be は it is(真理)や it'll be(必然)と比べて真理と距離があるから「だろう」になるという、めっちゃ楽しい感じのアレなんですよ。あと it's gonna be(示すものは真理でも自己意志でもなく、必然性もないが、その事象が起こる蓋然性は極めて高い)との比較も楽しいし、その辺いつか突っ込んで書きたい(欲望)

日常生活の会話で、あるいは雑談で、100%言い切ることってそんなに多くないですよね。日本語でも。「〜じゃないの」「〜でしょ」「〜だろうな」「〜やろ」「〜そうだね」とか、このへん全部断言しない系の語尾ですよね。で、かなり使いますよね。「おはよう!今日は一日晴れそうだね!」って、朝の始まりのワンシーンからばちこり出てきますよね。そうなんです「言い切らない文章」は会話ではめっちゃ使うんです。

なのでwouldをスムーズに使えれば、自分が想像してないくらい、ドーピングしたのかってくらい英語が楽になります。まじです。まじ。日常会話の、少なくとも5割以上は100%言い切れない事象についてですから、気づかずに失っていた5割を取り戻せるんです。

これよく思うんですが、英語自体が「辛いンゴぉ…」なのではなく、「英語の単語勉強したしSVOCもわかるようになったけど全然話すの楽にならなくてもう嫌ンゴォ…」なのではないかと思います。自分は「もう嫌ンゴォ」まではいかなかったものの辛みは感じてました。中学x年生のころにとあるゲームの日韓対抗戦に関わる機会があり、そこで英語で会話する必要があって、最初は「辛いンゴォ」だったんですが、「そういえばwouldめっちゃ見かけるな、学校ではwould like toとかwould appreciate ifでしか存在感なかったのになんじゃこら、仮定法過去?もうよくわからんがとりあえず真似して使ったろ!!」となり、その三日後には「ワイ英語いけるやん!!!!!」となってました。いや気持ちだけですよ。実際は多分いまでもいけてないですが。

だけどその気もちの変化がすっっっっごい大事なんですよね。「英語辛いンゴォ」から「ワイ英語いけるやん!!!」になると英語 にたいする拒絶感が減って。実際にも、言いたいことを言える率がぐわっとあがってて、心に余裕ができて、わからない文章が来ても「おっこれは知らんな」くらいの感じで焦らず対応できるようになって。そして辛いンゴォじゃなくなる。これが大切だと思っとるのです。

wouldは、当時もちろんボキャブラリーも中学生相当の僕さえ「いけるやん!」と思わせた、そういう意味で神の助動詞でした。そしてあなたにとってもそうなればいいな。

アライさんと一緒に would を使うのだ。きっと伝えたいことが伝わるようになるのだ。

実践 would

would乗りこなそう。考えるな、感じろ!

ヒントをひとつだけ。wouldは直訳と草訳でだいぶ印象変わりますよね。直訳の「だろう」が残ることもままあるが、そうでないものもまた然り。なんでかっていうと、混乱するようだったら読み飛ばしていいんですがwouldそのものは「弱めの意志」なんですね。willは「意志」です。wouldもwillもないときは「事実(真理)」ですね。未来系とかいうおっぺけぺーな概念はどうか忘れてください。willが未来系なら未来の過去系wouldってなんやねん。そこにこじつけの理屈を求めるくらいなら未来という概念を捨ててください。willファミリーは意志を表します。

wouldの直訳は「だろう」だけど、wouldそのものは「弱めの意志」なのだ。これだけ覚えたら、あとはアライさんと一緒に考えずに感じるのだ!

I'd rather stay away from him.
直: 私はむしろ彼から離れているほうを好むだろう。
草: つかむしろアイツに近寄りたくないンゴ。

I wouldn't say yes.
直: 私は「はい」と言わないだろう。
草: うんとは言いにくいで。

Then I would be famous?
直: それから私は有名になるだろうか?
草: そしたらワイ有名になれるんやろか?
(あ、疑問文作るときに助動詞やbeと主語入れ替えるやつ、あれも忘れてください、別に入れ替えてもいいけど入れ替えなくてもよくて、雑談では5:5くらいです。入れ替えずに ain't it? や you know? や I know, right? と続けるのも多いです。もっと言えば入れ替えた場合には強めに問いただしてる感じが出ます。アライさん日本の義務教育はどうかと思うのだ。忸怩たる思いなのだ)

I'm not sure what would be considered NSFW
直: 私は、何が閲覧注意とみなされるだろうか、に確信がない。
草: 何をもって閲覧注意とみなされうるのかよくわからンゴ。

最後の例は「自分」以外のものに would を使っているのがおわかりいただけただろうか… wouldが「弱めの意志」なら自分以外の…特に無機物の意志ってなんなのだ… …はいつか書くのだ。いまはそんなややこしいこと考えないでください何でもしますから。

He would have been drunk.
直: 彼は酔っ払っていていただろう。
草: あいつ酔っ払ってたんやろな。

It would've not happened.
直: それは発生していなかっただろう。
草: 実際には起こってないんちゃうか。

wouldは「弱めの意志」なんで、未来の過去形とか言うカオスではないので、wouldで過去のことを言うことも当然できます。そんときはwouldの次にhave p.p.を突っ込んでください。え、notの位置?細けえことはいいんだよ!エビフライぶつけんぞ!

If you died, I would be crying.
直: あなたが死んだなら、私は泣いているだろう。
草: 君が死んだらワイきっと泣いちゃうンゴ

I would rather you didn't talk to me anymore.
直: 私は、あなたは私にこれ以上話しかけなかった、をより好むだろう。
草: これ以上ワイに話しかけないでクレメンス(ちな、いま話しかけられてるンゴ)

お待ちかねの仮定法過去さんです。死ね!(直球) ここまで読んでくれたフレンズはもうおわかりかと思いますが、鶏と卵だったら鶏が先に決まってます。wouldが先です。仮定法過去なんて至極どうでもよいです。

「ifのあとが過去の話だったときはたいてい事実と反することを言っているんやで」 + 「wouldは弱い意志」がそれぞれ独立にあるだけです。

カテイ・ホ=ウカコ、君は今までに苦しませたキッズの数を覚えているのかい?

I'd be glad to do that.
直: 私はそれをすることがうれしいだろう。
敬: 喜んで承ります。(喜んでそれをさせていただきます。)

[比較するのだ]
I'm glad to see you.
直: 私はあなたに会えて嬉しいです。
草: 会えて嬉しいンゴ
(敬: お会いできて光栄です。)

この例はwouldの「弱めの意志」を読み取ってほしいやつです。 I'm glad to see youでは「あなたと会えたこと」(いま起こった事実)が am glad 嬉しい。 I'd be glad to do thatは「それをすること」(これから)が be glad 嬉しい would だろう(謙譲)

それぞれの文自体は何ら直訳も不自然なく見えますが、I'd be gladの方はこれから起こることについて嬉しいと言ってますよね。willつかってないのに。未来形は死んだのだ。

どんなに意志が弱かろうと、謙譲語であろうと、必ず would は意志を示すので、be glad to do that(それをしてうれしくなる)ことに対しての自分の意志(will)を表明します。

『「それをしてうれしくなる(be glad to do that)」をやってやる(will)デス!』を謙譲すると 『「それをしてうれしくなる(be glad to do that)」をやるだろうな(would)デス!』になるのだ。

そして I'm glad to see you との比較に戻ると、これは現在形(と学校で呼ばれているもの)なので「事実(真理)」を示します。意志は示しません。 「『きみにあえてうれしくなる(be glad to see you)』が事実(be → am)になったのデス!』 という感じです。

という感じです(二回目)。

現在形のglad toのあとは過去を表しますとか書いてるアフィブログどもめ! wouldはwillの過去形だから未来も表すとか書いてる新書どもめ! もう許さねえからな!!!

ちょっとややこしいですが「wouldは弱めの意志」という芯を持ち続けてればそれだけで大丈夫です。惑わされることはまずありません。

I would like to close this post here.
直: 私はここでこの記事を閉めることを好むだろう
敬: このあたりで終わりにさせていただきます

おわりに

  • would は直訳で「だろう」
  • would は言い切れない事柄を表現できる神の助動詞
  • would 使い始めると「英語辛いンゴォ」がなくなる(はず)
  • would の本質は「弱めの意志」
  • wouldの「弱めの意志」+もう一つなにか曖昧な表現(〜を好むとか〜なら嬉しいとか)=だいたい敬語
  • would have p.p を使って過去を表すことももちろんできる。ウドは未来形(天に召されろ)でも未来形の過去形(お亡くなりになれ)でもないのだ。
  • うどのフレンズが積極的に忘れるべきものリスト
    • 未来形
    • 仮定法過去
    • 時制の一致 (new!) いつか絶対書くのだ
  • この記事を読んでTOEICを受けないでください
    • どうなってもしりませんよ
    • この記事の目的は「海外のファンと気楽に話せるようになってほしい」です
    • それではまた

雑談恐怖症と初対面モデル

雑談が苦手な人。そう聞いた時、どんな人物像が思いつくでしょうか。

僕は「人と話すのが苦手(不得手)な人」をはじめに想像しました。自分の考えをうまく言葉にできなかったり、何を話せばいいかわからなかったり。次いで吃音症の人。あとは人間との会話に興味がなくて、数式や楽譜と会話できるタイプの人。ぱっと思いつくのはそれくらいです。人と接すること自体が苦手な場合も、おおまかには「人と話すのが苦手」と言えそうですね。

ステロタイプをあげていくと「会話について disabled / no interest である人」というあたりに集約しそうです。


ところで僕は雑談が苦手です。ずっと苦手意識を持って生きています。雑談は苦痛です。しかし僕は上記の例には当てはまりませんでした。

苦痛の源を探るなかで、「当てはまるはずだ」と思いこんでいたこともあります。ただ、その思い込みは、ある時期にコミュニケーションのワークショップに参加して「人と話すのが苦手な人」を客観的に知ったことで、次第にとけていきました。僕には少なくとも平均的な会話能力があり、会話への興味もあります。

幾度となく、他人に「人と話すのが苦手なんです」と伝えたことがあります。相手はその時の友人だったり上司だったりいろいろです。自分としては本心からそれを伝えるのですが、一貫して「全くそうは思えない」と強めの否定が返ってきます。それを繰り返すうちに「必ず否定されるような自虐を言って自尊心を満たしている」のと区別がつかなく感じて、惨めな気持ちになり、ある時から伝えるのをやめました。

そんな経験から僕が理解したことは「人と話すのが苦手」と「雑談が苦手」は遠縁の事象だとということです。一見すると交叉しそうなこの2つは、そもそも別の集合族にあるっぽいのです。もちろん人と話すのが苦手ならたぶん雑談も苦手なんですが、それはここで語ろうとしている「雑談が苦手」と似た症状をもたらす全く別のものという感じです。


「雑談が苦手」を説明するとき、よく引き合いに出される例があります。

初対面の人や、知り合って間もない人と会話するのは苦労しないが、交友が続くにつれてうまく会話できなくなる。

そりゃ交友が続けば合う人も合わない人も出てくるので、言ってしまえばバーナム効果的に聞こえます。が、僕はこれ、かなり鋭いと思ってます。個人的に初対面モデルって読んでます。

このモデルに対しては、なぜか「それは君の話のストックが少ないから」のような理由を求めたくなります。引き合いに出される場ではたいていその理由が挙げられてます。一見すると辛辣ながら的確な理由にも思えます。

ところがです。少し冷静に考えれば、雑談のトピックはそう簡単に枯渇しないことがわかります。そもそも雑談に話のストックなんて必要ないのです。雑談のトピックなんて、たまたま今飲んでた缶コーヒーの味でも、昨日あまり眠れなかった理由でも、相手に伝わるなら専門的な話でもなんでもいいのです。少なくとも、短期間に使い切れる程度で有限、というのは明らかに直感に反します。

でも現実に、徐々に会話しずらくなっていく。それは事実です。ただし実際に起こっていることは、話題枯渇のような「リソースの制限」ではなく、会話がうまくできなくなるという「行動の制限」そのものだと理解しています。

ちょっと抽象的ですが、交友が続くにつれて「うまく会話ができなくなる」という制限がかかるということです。その制限がどこから来るのかは人によって違う気がします。とりあえず僕個人のケースについて掘り下げてみます。


僕自身は間違いなく「初対面なら話しやすく、その後話しにくくなる」特性を持っています。15歳くらいからずっとそうですね。ちなみに15歳より以前では人見知りのほうが強かった気がします。

ただ、僕は社会生活のなかで「話しにくくなる」という部分を無理やり矯正しました。普通に話せるっぽく装う術を獲得したんですね。なので今は「初対面なら話しやすく、その後に話す時は徐々に死にそうな気分になる」という特性にアップコンバートされています。

その苦痛の根源はぼんやりとですが理解しています。

初対面の時、あるいは出会ってから間もない頃って、自分と相手の関係が他の関係と独立してるんですよね。 例えば今日あなたが僕と初めて会話したとして、僕との会話があなたと僕以外の何かに影響することはほぼ100%ないです。

ところがです。僕とあなたとがこれから何回も合う事になるのであれば、大抵そこには何らかの包括的な対人関係が成立しています。


いくつか具体例を上げてみます。僕とあなたは高校1年生でクラスメートです。周りは知らない人ばっかりで、最初は皆独立した個です。だけど1~2ヶ月もすればだいたいグループが定まります。大抵はクラス全体も包括的なグループとなります。ここに至ってはもはや個どうしの関係は成り立たず、あるグループの一員としての僕とあなたになります*1

次はもう少しリアルな例で、僕とあなたとAさんとBさんの四人は会社員です。それぞれ同業他社に勤めています。そんな僕たちはたまたま勉強会の打ち上げで意気投合しました。そして後日また4人で集まって飲みます。この時点ではまだそれぞれ独立した個です。この会合を月2ペースで続けることになりました*2。しばらくしてAさんの友達のCさんが合流して5人になります。僕は実績ベースだとこのあたりで音信不通になります。

最後にそうならない例です。僕とあなたは登山クラブのメンバーとして出会いました。登山クラブはすでに解散しましたが、僕とあなたは気が合うので友人のままです。僕はこのケースなら会話を重ねても苦痛を感じません。


交友関係やクラスメイトのような、目標を共有しない自然発生的コミュニティは、ある種のゆるやかな合意によって形成されています。それは「お互いここに居ても良いよね」という合意です。

そして、全体として合意を維持し続けるために「ここに居てほしくない人」が発生した場合には、その人を排除する力が働きます。その力はとても強く、ときには暴力的に表現されます。


それはたいてい、些細な感情から始まって、周囲を巻き込んで強大な力へと変わる


面白くない話は端折りますが。おそらく僕の本能は「緩やかな合意に基づく対人関係」の発生を感知して「はやく逃げろ!どうなっても知らんぞ!」と危険信号を出すのだと思います。それが僕の「雑談が苦手」の正体です。

*1:その枠を越えて真の友情を得るみたいなこともままあるとは思いますが、高校生なら。

*2:ここでもし、この会合が半年に1度くらいのゆるさになれば、独立した関係は長く保たれると思います。初対面の半年後が2回目のこんにちはなら何の問題もなさそうです。

わたモテ喪130と荻野の話

新刊発売日とガンガンオンラインの更新日がかぶってめまぐるしい一日でしたね。朝10時すぎから特典コンプ勢の情報共有が始まって、早々に特典4種コンプした写真が流れてきて「はやっ!」とか「いいなー」とか言ってたら喪130が公開されてそのまま萌死しました。

特典は早い人だと10時半にはコンプしてたからやっぱプロは凄い。Kindleにも特典つけてくれていいんだよ。何かデジタルなやつ。もこっちが服を握るときに繊維が擦れる音.mp3とか。

ところで [喪130] モテないし遠足が終わる(上) 読みました。


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百合漫画より百合漫画してたゆりもこ


わたモテは百合漫画かもしれないってことは気づいてたというか、でもそれは冗談めかしかったというか、言わば「もし百合漫画だったとしたらネモってやべー奴だよね!!」的な思考実験のツールとしての受け入れだったんですね、僕にとって、今まで。今までは。でも今回の話を読んで認識変わりました。この漫画は百合漫画よりも百合漫画してます。ネモはやべー奴です。

遠足編を通して智子への執着心を露わにしていたネモゆりうっちーの三人官女ですが、動機がはっきりしてたのはうっちーだけだったんです。もこっちのことが好きだから、っていう。LoveかLikeかは知りません。そういや英語海賊版ではLikeに翻訳*1されてましたね。嘘ですけど。

ネモゆりは確かにもこっちに執着しているけど、どこか底が知れなくて、なんで執着してるのか、理由が飲み込めませんでした。ゆりについては海外勢から聞いた「Yuriはスクールカーストのために見捨てられることを嫌っているだけで、Tomokoに特別な好意があるわけじゃないよ」がわりと鋭いなと思ってました。

でも今回の話ではっきりわかりました。いや、わかったことがあります。ネモゆりは智子に対する独占欲を持っています。


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牛と狐と喪女とネモゆり


この牛は「もこっちと自分との関係が他と比べて特別であってほしい」と、ネモゆりがそう願わない限り、決して彼女たちを脅かさないでしょう。

独占欲。ユリレズ公準を採用した公理系からすれば「何を今更」かもしれません。ネモイストに聞けばそんなものはネモクロ事変の時から知っていたと言うかも。でも今回の牛は明らかに性質が異なるものでした。この牛は彼女たちの能動的な独占欲なしには機能しません。「実は見捨てられるのが怖いだけ」とか「ドSがふざけてからかってるだけ」などという対論の余地がないです。

智子への独占欲を示したことで、ネモゆりは百合キャラとしての抽象*2を成しました。すると、彼女たちの実像*3がどうあるかに関わらず、このネモゆりもこが織りなす寸劇は抽象的な「片思い百合漫画」として不都合なく認識できるようになった──。

彼女たちの実像が今後どう描かれるのか。それが描かれた時に初めてこの遠足編全体の実像を捉えられる。そんな気がします。


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荻野の話


自信満々な表情がイラッとしますね。僕は荻野が苦手です。荻野について書きたいことが山ほどあります。でもイラッとしたのでまたの機会にさせてください。それではまた。

*1:嘘です。いや嘘ではないけど本当はlike toです。付き合いたい。

*2:abstraction

*3:implementation

マギアレコードを4ヶ月やって辞めた話

マギアレコード(マギレコ)を4ヶ月くらいやって辞めました。 いろいろ書いておくので、これから始める方の参考になれば嬉しいです。

この記事は 2018.2.18 時点の情報を元に書いています。

TL;DR

廃課金してしまうので辞めます。
今から始めるなら1円も課金せずにストーリーをまったり楽しんでください。
課金せずともしっかりストーリーを追えるのがマギレコの良いところです。

マギレコ始めたきっかけ

ローンチ時点からマギレコをやっていた友人に勧められ、2ヶ月遅れで開始。
まどマギ自体は好きだったので抵抗なく入れた。魔法少女可愛いしBGMもいい。千葉ナオチューさんがいい仕事してる。
それから4ヶ月くらいはほぼ楽しく、いわゆる「微課金」で楽しめていました。

ミラーズランキングっていう魔法少女対抗チキチキ!ドッジボール大会があったような気もしますが、よく覚えてません。

マギレコを辞めた日のこと

バレンタインを過ぎた2月中旬ころ、期間限定ガチャ (以下、限定ガチャ) の景品として現状のゲーム均衡を壊すほど強力なプロパティを持つ魔法少女が現れます。
性能の詳細は省きますが、プレイヤーのほとんどに「これは手に入れねばならん」と思わせるくらいの。「いや、必要ない」と逆張り主張していた人も、数日後には「他の人が使ってるの見たら強すぎるので、やっぱ手に入れました」といった具合に。僕の近傍では3人そうなってました。

ところで、このゲームのガチャレートは平時の最大効率で { 1 Roll = 280 JPY } です。 標準的なパチスロ{ 1 Roll = 60 JPY } と比べるとほぼ5倍、かなり高レートです。ちなみに大当たり率は1/100ほど。

件の魔法少女の限定ガチャが始まったその日。
Twitter には250〜1000回転の報告が溢れていました。
僕の(見ようとしなくても)見える範囲だけで数十件は有に確認できたので、実際は桁違いの人数がそれを行っていただろうと思います。

250~1000回転は、ほぼそのまま 70,000~280,000円 です。

(計画的なプレイヤーは無料配布されるガチャリソースを10,000円分くらい貯めているので、その場合には10,000円が差し引かれますが、焼け石に……)

その日の Twitter は、ギャンブル漫画のような金額が裏(現実)で飛び交い、「あと1凸っ……!!あと1凸なんだっ……!!」(ここでの1凸は1大当りの意)と口々に漏らす、さながら鉄火場でした。

僕はさも当然のように熱にあてられて500回転くらい回してました。

そして我に返ってずっしり後悔して「ああ僕はここに居てはダメだ」と思い、鉄火場の夜から2日を待たずにゲームをアンインストール(この判断を迅速に下した点だけは自分を褒めたい)。

高い勉強代を払いました。

何が僕をそうさせたのか

僕の頭が悪かったからというのは受け入れるべき1つの事実として脇に置いておきます。

まずマギレコのガチャのゲーム性についてさくっと説明します。また簡単のため、ガチャの景品は魔法少女のみとして扱います。

ガチャには、四六時中いつでも試行できるレアガチャ(以下、通常ガチャ)と、前述の、期間限定で試行できる限定ガチャとがあります。 ガチャの景品には、大当りそれ以外があり、一回転における期待値の比はざっくりと{ 1:99 }と考えておいてください(実際はもっとややこしいので、それは後述します)。

通常ガチャからは、限定ガチャの景品(以下、限定景品)を除くすべての景品が出ます。
限定ガチャからは、限定景品の大当りが1つ、大当り以外の限定景品が数個、そして通常ガチャの景品が出ます。

またこれらのガチャは「同じ大当りを4つ集める」ことが1つの自明な目標になっています。

大当り景品は通常ガチャだけで12種類あるので、同じ大当りを短期間に4つ集めることは現実的ではありません。しかし言い換えれば、通常ガチャから出る大当りは、のんびりと長い時間をかけて、無料のリソースを活用して4つ集めることが現実的に可能です。

なので通常ガチャの方はそこまで射幸性が高くありません。ゆっくり待てば十分なチャンスがある。時間の力でもって大数の法則が果たされるという事実は人を冷静にさせます。

一方で、限定ガチャの射幸性は極めて高いです。
限定ガチャは、おおむね1週間しか試行機会を与えられません。その後再び試行機会を得ることができるのかどうか全くわからず(前例なし)、仮に得ることができたとしてもそれはまた1週間の限定ガチャだろうと有意に予測できます。 これでは「限定景品の大当りを4つ集める」ことはほとんど不可能に思えます。

が、限定ガチャでの大当り時は、限定大当りが排出される割合が高くなっています。
限定大当り:それ以外の大当り全て{ 6:4 } の比です。なんかいけそうな気がしてきます。


1/100で大当りを引いて、60%の門を突破すれば限定大当りが手に入る。これなら4つ集められそうだ!

こんなに強いキャラが、次いつ手に入るかわからない。もう二度と手に入らないかも。集められそうなら4つ集めるしかない!

という具合で、扉を開いてしまう。回してしまう。もう引き返せない。本当は見かけよりずっとずっと渋い確率だが、それを事前に計算してないので気付かない。 強運な人が期待値よりもずっとずっと早く達成して、それを Twitter に投稿する、みんなそれを見る、それが「やはりいける」という間違った結論の根拠となり、止まらない。 自分が4つ揃えるまで止まれない。回転数が多くなればなるほど、「ここで引き返す」という選択肢は選べなくり──


これがあの日、僕を含め、少なくない人数に起こったことでしょう。ギャンブルそのものです。

夢から覚めてアンインストールするまで

白昼夢のような鉄火場のあとに、「ゲームを辞めるべきか、辞めざるべきか」という葛藤が始まりました。

「今回の出来事は完全に理性の外にあった。鉄火場でアツくなったのだ。こんなリスクがある以上、即刻辞めるべきだ。
「10万円以上使ったが、その甲斐あって有利にゲームを進められるのだから、続けるべきだ。なに、今後課金しなければいいだけだ。

ここで自分は、直感的に「今後課金しなければいいだけだ」という思考がゲーム側があらかじめ用意した罠だと気づきました。
僕は彼らにとって「ぶっ壊れを限定ガチャで出せばアツくなってくれるクラス」であり、そのクラスが平時に課金をしないことは織り込み済みで限定ガチャのPO率は低く設定されているのだと。

例えば 斜めB2枚+A2枚の闇属性全体マギア持ちATK7500, コネクトで回避無効+クリ, 攻撃モーション超速 が夏に限定で登場するとします(伝わらなくてごめん)。喉元過ぎて熱さ忘れてる頃です。暑いけど。これに「アツくならない」と言うのは簡単です。でも僕は多分、何かのきっかけでアツくなってまたぶっぱしてしまう。おそらく僕はそういう人間なのです。そして僕のような人間のために、限定ガチャのPO率は絶妙に渋く設定されているのです。

僕のような特性を持っていると、このゲームを安く長く楽しむことはできないなと。
そして鉄火場の日から約2日後、手に入れた超性能の魔法少女をほとんど使うこともなく、そのままアインストールしました。課金分は良いゲーム(特にBGM)を作った開発への寄贈とでも考えておきます。

これからマギレコを始める人へ

個人的な感想ですが、ストーリーやBGMはかなり良いです。 でも実際に始めるなら課金はオススメしません。僕のようなクラスの方にだけではなく何人にもオススメしません。

理由は2つ。1つはメモリアです。課金したところで満足に強くなるためには特定のメモリアを4枚重ねなければなりません。

友達ができたりできなかったりバイブだったり50点の中華料理店の店員だったりしますが、メモリアの母数も増え(もちろん排出率はそのまま)、いまから微〜中課金で4枚重ねるのは無茶だと思います。

ようは微〜中課金で賢くやっても強くはなれないので。そういう強さに惹かれる人にとっては廃課金ロードしか残ってないと思うんですね。

なのでもう効率とか強さとか対戦とかはきっぱり諦めてストーリーだけ読むのが良いと思います。

星4の魔法少女ストーリーは誰かしらYouTubeに上げるんでそれを見ましょう。 このゲームのガチャは、ストーリー見たさに引いて良いようなレートではないですから。それが理由の2つめです。


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こんなに可愛い顔をしているのに、やることは闇カジノなみにえげつない。


限定ガチャの排出期待値(付録)

実際の限定ガチャの排出期待値ですが、少しややこしいです。

「限定ガチャにおいて、限定大当りを1度獲得することに」ついて考えます。
また、簡単のため、全ての試行は10連ガチャで行うものとします。

星4がなんでもいいから出るまでの期待値

「最後に大当りが発生した時点、または初めて試行を開始した時点」を初期時点とする。

いま、初期時点から数えて n (n \in \mathbb{N} : n \leq 100)回目の試行を行うとき、大当りの確率は

 \displaystyle {
p_n =
\{
0.01_1, 0.01_2, 0.01_3, \ldots, 0.01_9, 0.02_{10}, 0.01_{11}, \ldots, 0.01_{19}, 0.02_{20}, 0.01_{21}, \ldots, 1_{100}
\}
}

ここで、 n=99までに大当りが発生しない確率は

 \displaystyle {
(1 - 0.01) ^ {90} \cdot (1 - 0.02) ^ 9 = 0.33744437648
}

同様に、 f(m) = a : m = 10 a + b ただし  m \in \mathbb{N} : m \lt 100 かつ  a, b \in \mathbb{Z} : a \geq 0 : 0 \leq b \lt 10 とおくとき、任意の mまでに大当りが発生しない確率は、

 \displaystyle {
NT(m) = (1 - 0.01) ^  {m - f(m)} \cdot (1 - 0.02) ^ {f(m)}
}

ところで、初期時点から数えてちょうど n回目の試行で初めて大当りする確率は

 \displaystyle {
\begin{align}
q_1 &= p_1 \\
q_n &= NT(n-1) \cdot p_n
\end{align}
}

数列 qの総和が 1であることは定義から自明である。

ここで、初期時点からちょうど何回目の試行で初めて大当りするか を表す確率変数 Y

 \displaystyle {
\begin{align}
&Y = \{y \in \mathbb{N} : y \leq 100\} \\
&P(Y = n) = q_n
\end{align}
}

と定義できる。
また、 Yの対象はたかだか100個であるから、 Yは離散型確率変数であり、その期待値は

 \displaystyle {
E(Y) = \sum^{100}_{n=1} n \times q_n = 61.093667
}

今ここに、無限回の試行を前提としたとき、
初期時点から初当りまでの回転数の期待値 E(Y) = 61.093667が求まった。

限定星4が出るまでの期待値

初当りまでの期待値 E(Y)は既知である。
すなわち、限定大当りは  E(Y) ごとに  0.6 の確率で手に入れることができる。
ところで、この事象の像は、 Yの像と異なり無限である
そのため、ここでは、

99%以上の確からしさをもって限定大当りを1度獲得できる試行回数

を求める。また、求める試行回数を nとおく。すると

 \displaystyle {
(1 - 0.6)^n < 0.01
}

が題意より定まる。これを nについて解いて、

 \displaystyle {
n > 5.02588318946
}

定義より n自然数であるから、求める値は  n = 6
また、6度の試行を行うための回転数の期待値は

 \displaystyle {
6 \cdot E(Y) = 366.562002
}

よってここに題意が求まった。ちなみに日本円で約102,620円です。