キナブロ

ざっくばらんに書きます

マギアレコードを4ヶ月やって辞めた話

マギアレコード(マギレコ)を4ヶ月くらいやって辞めました。 いろいろ書いておくので、これから始める方の参考になれば嬉しいです。

この記事は 2018.2.18 時点の情報を元に書いています。

TL;DR

廃課金してしまうので辞めます。
今から始めるなら1円も課金せずにストーリーをまったり楽しんでください。
課金せずともしっかりストーリーを追えるのがマギレコの良いところです。

マギレコ始めたきっかけ

ローンチ時点からマギレコをやっていた友人に勧められ、2ヶ月遅れで開始。
まどマギ自体は好きだったので抵抗なく入れた。魔法少女可愛いしBGMもいい。千葉ナオチューさんがいい仕事してる。
それから4ヶ月くらいはほぼ楽しく、いわゆる「微課金」で楽しめていました。

ミラーズランキングっていう魔法少女対抗チキチキ!ドッジボール大会があったような気もしますが、よく覚えてません。

マギレコを辞めた日のこと

バレンタインを過ぎた2月中旬ころ、期間限定ガチャ (以下、限定ガチャ) の景品として現状のゲーム均衡を壊すほど強力なプロパティを持つ魔法少女が現れます。
性能の詳細は省きますが、プレイヤーのほとんどに「これは手に入れねばならん」と思わせるくらいの。「いや、必要ない」と逆張り主張していた人も、数日後には「他の人が使ってるの見たら強すぎるので、やっぱ手に入れました」といった具合に。僕の近傍では3人そうなってました。

ところで、このゲームのガチャレートは平時の最大効率で { 1 Roll = 280 JPY } です。 標準的なパチスロ{ 1 Roll = 60 JPY } と比べるとほぼ5倍、かなり高レートです。ちなみに大当たり率は1/100ほど。

件の魔法少女の限定ガチャが始まったその日。
Twitter には250〜1000回転の報告が溢れていました。
僕の(見ようとしなくても)見える範囲だけで数十件は有に確認できたので、実際は桁違いの人数がそれを行っていただろうと思います。

250~1000回転は、ほぼそのまま 70,000~280,000円 です。

(計画的なプレイヤーは無料配布されるガチャリソースを10,000円分くらい貯めているので、その場合には10,000円が差し引かれますが、焼け石に……)

その日の Twitter は、ギャンブル漫画のような金額が裏(現実)で飛び交い、「あと1凸っ……!!あと1凸なんだっ……!!」(ここでの1凸は1大当りの意)と口々に漏らす、さながら鉄火場でした。

僕はさも当然のように熱にあてられて500回転くらい回してました。

そして我に返ってずっしり後悔して「ああ僕はここに居てはダメだ」と思い、鉄火場の夜から2日を待たずにゲームをアンインストール(この判断を迅速に下した点だけは自分を褒めたい)。

高い勉強代を払いました。

何が僕をそうさせたのか

僕の頭が悪かったからというのは受け入れるべき1つの事実として脇に置いておきます。

まずマギレコのガチャのゲーム性についてさくっと説明します。また簡単のため、ガチャの景品は魔法少女のみとして扱います。

ガチャには、四六時中いつでも試行できるレアガチャ(以下、通常ガチャ)と、前述の、期間限定で試行できる限定ガチャとがあります。 ガチャの景品には、大当りそれ以外があり、一回転における期待値の比はざっくりと{ 1:99 }と考えておいてください(実際はもっとややこしいので、それは後述します)。

通常ガチャからは、限定ガチャの景品(以下、限定景品)を除くすべての景品が出ます。
限定ガチャからは、限定景品の大当りが1つ、大当り以外の限定景品が数個、そして通常ガチャの景品が出ます。

またこれらのガチャは「同じ大当りを4つ集める」ことが1つの自明な目標になっています。

大当り景品は通常ガチャだけで12種類あるので、同じ大当りを短期間に4つ集めることは現実的ではありません。しかし言い換えれば、通常ガチャから出る大当りは、のんびりと長い時間をかけて、無料のリソースを活用して4つ集めることが現実的に可能です。

なので通常ガチャの方はそこまで射幸性が高くありません。ゆっくり待てば十分なチャンスがある。時間の力でもって大数の法則が果たされるという事実は人を冷静にさせます。

一方で、限定ガチャの射幸性は極めて高いです。
限定ガチャは、おおむね1週間しか試行機会を与えられません。その後再び試行機会を得ることができるのかどうか全くわからず(前例なし)、仮に得ることができたとしてもそれはまた1週間の限定ガチャだろうと有意に予測できます。 これでは「限定景品の大当りを4つ集める」ことはほとんど不可能に思えます。

が、限定ガチャでの大当り時は、限定大当りが排出される割合が高くなっています。
限定大当り:それ以外の大当り全て{ 6:4 } の比です。なんかいけそうな気がしてきます。


1/100で大当りを引いて、60%の門を突破すれば限定大当りが手に入る。これなら4つ集められそうだ!

こんなに強いキャラが、次いつ手に入るかわからない。もう二度と手に入らないかも。集められそうなら4つ集めるしかない!

という具合で、扉を開いてしまう。回してしまう。もう引き返せない。本当は見かけよりずっとずっと渋い確率だが、それを事前に計算してないので気付かない。 強運な人が期待値よりもずっとずっと早く達成して、それを Twitter に投稿する、みんなそれを見る、それが「やはりいける」という間違った結論の根拠となり、止まらない。 自分が4つ揃えるまで止まれない。回転数が多くなればなるほど、「ここで引き返す」という選択肢は選べなくり──


これがあの日、僕を含め、少なくない人数に起こったことでしょう。ギャンブルそのものです。

夢から覚めてアンインストールするまで

白昼夢のような鉄火場のあとに、「ゲームを辞めるべきか、辞めざるべきか」という葛藤が始まりました。

「今回の出来事は完全に理性の外にあった。鉄火場でアツくなったのだ。こんなリスクがある以上、即刻辞めるべきだ。
「10万円以上使ったが、その甲斐あって有利にゲームを進められるのだから、続けるべきだ。なに、今後課金しなければいいだけだ。

ここで自分は、直感的に「今後課金しなければいいだけだ」という思考がゲーム側があらかじめ用意した罠だと気づきました。
僕は彼らにとって「ぶっ壊れを限定ガチャで出せばアツくなってくれるクラス」であり、そのクラスが平時に課金をしないことは織り込み済みで限定ガチャのPO率は低く設定されているのだと。

例えば 斜めB2枚+A2枚の闇属性全体マギア持ちATK7500, コネクトで回避無効+クリ, 攻撃モーション超速 が夏に限定で登場するとします(伝わらなくてごめん)。喉元過ぎて熱さ忘れてる頃です。暑いけど。これに「アツくならない」と言うのは簡単です。でも僕は多分、何かのきっかけでアツくなってまたぶっぱしてしまう。おそらく僕はそういう人間なのです。そして僕のような人間のために、限定ガチャのPO率は絶妙に渋く設定されているのです。

僕のような特性を持っていると、このゲームを安く長く楽しむことはできないなと。
そして鉄火場の日から約2日後、手に入れた超性能の魔法少女をほとんど使うこともなく、そのままアインストールしました。課金分は良いゲーム(特にBGM)を作った開発への寄贈とでも考えておきます。

これからマギレコを始める人へ

個人的な感想ですが、ストーリーやBGMはかなり良いです。 でも実際に始めるなら課金はオススメしません。僕のようなクラスの方にだけではなく何人にもオススメしません。

理由は2つ。1つはメモリアです。課金したところで満足に強くなるためには特定のメモリアを4枚重ねなければなりません。

友達ができたりできなかったりバイブだったり50点の中華料理店の店員だったりしますが、メモリアの母数も増え(もちろん排出率はそのまま)、いまから微〜中課金で4枚重ねるのは無茶だと思います。

ようは微〜中課金で賢くやっても強くはなれないので。そういう強さに惹かれる人にとっては廃課金ロードしか残ってないと思うんですね。

なのでもう効率とか強さとか対戦とかはきっぱり諦めてストーリーだけ読むのが良いと思います。

星4の魔法少女ストーリーは誰かしらYouTubeに上げるんでそれを見ましょう。 このゲームのガチャは、ストーリー見たさに引いて良いようなレートではないですから。それが理由の2つめです。


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こんなに可愛い顔をしているのに、やることは闇カジノなみにえげつない。


限定ガチャの排出期待値(付録)

実際の限定ガチャの排出期待値ですが、少しややこしいです。

「限定ガチャにおいて、限定大当りを1度獲得することに」ついて考えます。
また、簡単のため、全ての試行は10連ガチャで行うものとします。

星4がなんでもいいから出るまでの期待値

「最後に大当りが発生した時点、または初めて試行を開始した時点」を初期時点とする。

いま、初期時点から数えて n (n \in \mathbb{N} : n \leq 100)回目の試行を行うとき、大当りの確率は

 \displaystyle {
p_n =
\{
0.01_1, 0.01_2, 0.01_3, \ldots, 0.01_9, 0.02_{10}, 0.01_{11}, \ldots, 0.01_{19}, 0.02_{20}, 0.01_{21}, \ldots, 1_{100}
\}
}

ここで、 n=99までに大当りが発生しない確率は

 \displaystyle {
(1 - 0.01) ^ {90} \cdot (1 - 0.02) ^ 9 = 0.33744437648
}

同様に、 f(m) = a : m = 10 a + b ただし  m \in \mathbb{N} : m \lt 100 かつ  a, b \in \mathbb{Z} : a \geq 0 : 0 \leq b \lt 10 とおくとき、任意の mまでに大当りが発生しない確率は、

 \displaystyle {
NT(m) = (1 - 0.01) ^  {m - f(m)} \cdot (1 - 0.02) ^ {f(m)}
}

ところで、初期時点から数えてちょうど n回目の試行で初めて大当りする確率は

 \displaystyle {
\begin{align}
q_1 &= p_1 \\
q_n &= NT(n-1) \cdot p_n
\end{align}
}

数列 qの総和が 1であることは定義から自明である。

ここで、初期時点からちょうど何回目の試行で初めて大当りするか を表す確率変数 Y

 \displaystyle {
\begin{align}
&Y = \{y \in \mathbb{N} : y \leq 100\} \\
&P(Y = n) = q_n
\end{align}
}

と定義できる。
また、 Yの対象はたかだか100個であるから、 Yは離散型確率変数であり、その期待値は

 \displaystyle {
E(Y) = \sum^{100}_{n=1} n \times q_n = 61.093667
}

今ここに、無限回の試行を前提としたとき、
初期時点から初当りまでの回転数の期待値 E(Y) = 61.093667が求まった。

限定星4が出るまでの期待値

初当りまでの期待値 E(Y)は既知である。
すなわち、限定大当りは  E(Y) ごとに  0.6 の確率で手に入れることができる。
ところで、この事象の像は、 Yの像と異なり無限である
そのため、ここでは、

99%以上の確からしさをもって限定大当りを1度獲得できる試行回数

を求める。また、求める試行回数を nとおく。すると

 \displaystyle {
(1 - 0.6)^n < 0.01
}

が題意より定まる。これを nについて解いて、

 \displaystyle {
n > 5.02588318946
}

定義より n自然数であるから、求める値は  n = 6
また、6度の試行を行うための回転数の期待値は

 \displaystyle {
6 \cdot E(Y) = 366.562002
}

よってここに題意が求まった。ちなみに日本円で約102,620円です。